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私は、長年、会社勤めをしてきました。メーカーで主に、商品企画および商品開発に携わってきました。
私の経験した働き方
朝、五時四十分に自宅を出て、二時間近くの通勤時間の後に、会社の門を潜ります。日の短い季節は、家を出るときには、真っ暗な空に星が輝いています。残念ながら、その星空を見上げても、「きれいだなあ!」と思うことは、まずありません。むしろ、「ああ、まだ、夜だ。」と夜明け前の暗さにも負けないくらい暗い気持ちになります。雨の降った日などは、空を見上げる気にもならず、ただただ、駅に向けて、歩くだけです。
会社につくと、まずは、パソコンを立ち上げます。そして、メールの確認で、一日が始まります。多い時には、百通前後のメールがあります。その中には、連絡や通知といったものが、半分くらい、残りの半分は、いろいろな問題についてのものです。どちらかというと、悪い話の方が多かったように思います。「問題が発生して困っているから助けてほしい。」とか、「問題が起きてるぞ、どうしてくれるんだ。」とか、いろいろです。昔は、直接怒鳴られたり、泣かれたり(本当に泣くわけではありませんが、目の前には、泣きそうに困った顔がありました。)しましたが、今は、デイスプレイ上の文字だけです。その文字を目で追いながら、その先にある、怒った顔や泣きそうな顔を思い描いていました。
会議でも、問題への対応が、最も多い議題ですし、時間もかかります。商品開発では、発売日も決まっていますので、会議参加者の目つきも悪くなったり、言葉もとげとげしくなったりします。それでも、問題が解決したり、少なくとも、解決の糸口くらいが見つかればいいのですが、それもなく、問題だけがピカピカ輝いて残ってしまうこともあります。
気が付くと、外も暗くなり、退社する時刻です。残業になることもあります。会社の門を出て、駅への道を、朝とは逆方向に歩きます。解決できなかった問題のため、鳩尾のあたりに、どんよりとした重さを感じながら、道を歩きます。
それでも働けた理由
と、残念ながら、それほど明るくない毎日でした。それでも、こういった毎日を続けられたのは、自分のやっていることがどんなに些細なことでも、その結果が、だれかの役に立っていて、喜んでもらっているということを知っていたからです。その誰かは、目の前にいることもありますが、普通は、顔も見たことがない、話をしたこともない誰かということになります。私の場合は、メーカーでしたので、商品開発にかかわった商品が、お客様に喜んで使っていただいているということが、最も大事なことでした。毎日のように伝えられる市場情報の中に、お客様の評価が記載されています。そこに、喜びの声を見つけた時の嬉しさは、格別です。
働く、仕事をするということ自体は、あまり楽しいことではないかもしれません。でも、自分のしたことで、喜んでくれる人がいるということが、楽しくないことを楽しいことに変えてくれるのではないかと感じています。
みなさんも、ちょっと辛いなと思った時には、みなさんの仕事の結果で、喜んでくれる人がいることを思い出してください。